[]グランド・ルールとロウワー・ルール。




 物語三昧ラジオの録音を聴いていました。


 ペトロニウスさんが途中で挙げている栗本薫の小説はたぶん『蝶の墓』ですね。



天狼星〈3〉蝶の墓 (講談社文庫)

天狼星〈3〉蝶の墓 (講談社文庫)

 まあ、聴いて色々思うところはありますけれど、ひとついえるのは、このラジオを聴いてから栗本薫の小説を読むとだいたい内容を理解できるんじゃないかと。

 ぼくは前々からいっていますが、栗本薫の『グイン・サーガ』も『魔界水滸伝』も、数々のボーイズ・ラブ小説も、テーマは同じなんですよ。というか、同じものを違う方向から描いているだけだと思うんですね。そこがわかるとぼくやペトロニウスさんがなぜこの作家をこれほど高く評価しているかわかると思うんですけど。

 ぼくなりに翻訳すると、このラジオのなかでペトロニウスさんがいっているグランド・ルールとは、


・世界は戦場である。

 ということだと思います。これが「世界の理」です。このルールは変えられないし、変えてはいけない、という前提があります(『風の谷のナウシカ』の「墓所」は、このグランド・ルールに手をつけようとしたためにナウシカに亡ぼされたわけです)。で、このグランド・ルールを認識すると、自然と以下のテーマが発生します。


・その戦場でどう生き抜いていくか。

 これが作家栗本薫の基本テーマです。栗本薫のすべての作品がこのテーマを扱っているといってもいい。すごく簡単にいうと、このテーマをマクロレベルで描いたのが『グイン・サーガ』であり、ミクロレベルで描いたのが『終わりのないラブ・ソング』だともいえる。いやまあ、本当は違うんですが。

 違うというのは、グランド・ルールは同じでも、下位ルールのレベルで差があるからなんですけれど。ペトロニウスさんが語っている通り、グランド・ルールは変えられなくても、下位ルールは変えられるわけです。まあ、そこらへんの話は長くなるので……。