ブラック・ジャックという神話的キャラクター。
ブラック・ジャック (1) (少年チャンピオン・コミックス)
- 作者: 手塚治虫
- 出版社/メーカー: 秋田書店
- 発売日: 1974/05
- メディア: コミック
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手塚治虫『ブラック・ジャック』の若き日を描く『ヤングブラック・ジャック』というドラマが製作されるとか。日本のドラマにはほとんど絶望しているので、期待はしていませんが、ちょっと見てみようかな、とは思います。何しろまあ、『ブラック・ジャック』ですから。
まあ、いまさら大手塚の遺産を侵犯することについては批判的意見もあるようで、一『ブラック・ジャック』ファンとしてその気持ちもわかるのですが、一方で『ブラック・ジャック』くらいになるとこの手の企画もありかな、という気がします。
いままで『ブラック・ジャック』は何度となくほかの作家によって描かれてきました。いずれも手塚死後に作られたものであるので、正式な外伝、続編というよりは二次創作のたぐいといった方が的確かと思われますが、手塚のキャラクターのなかでもこれほど人気のあるキャラクターはいないでしょう。
変わったところでは吉富昭仁『RAY』のなかにブラック・ジャックらしきキャラクターが登場しています。
じっさいにはブラック・ジャックの物語は一定の時代背景に囚われているはずなのですが、二次創作する作家たちはそんなことに頓着しているようすはありません。ブラック・ジャックは平然と現代にも、未来世界にすらも登場し、その神業ともいえる手術テクニックを振るうのです。
まあ、何しろ宇宙人を手術したり、巨大コンピューターを手術したりもしているブラック・ジャックですから、その点はふしぎでもなんでもないといえるかもしれませんが……。ブラック・ジャックはある意味で時間も空間も超えた神話的な存在となっているといえるかもしれません。
ぼくは一応この手の「外典」すべてに目を通しているはずなのですが、やはり原作を超えるものはもちろん、原作に及ぶものもなく、ただ原作の素晴らしさを称えるばかり、というのが現実かと思われます。
また二次創作というわけではありませんが、「高額な謝礼をとって仕事する違法すれすれの天才」というパターンは、細野不二彦『ギャラリーフェイク』などにも受け継がれて一群の作品を形作っていますね。
『ブラック・ジャック』という作品が、手塚にとって人生を賭したものであったことは有名です。結果としては手塚はここ一番の大勝負に快勝し、その作家生命を復活させたわけです。その意味で、ブラック・ジャックは手塚にとっても愛着のあるキャラクターだったでしょう。『ミッドナイト』などにも時々登場していますね。
そうしていまや神話の人物となったブラック・ジャックこと間黒男は、この先もいつまでも神の如きメスを振るい続けるのかもしれません。ブラック・ジャックは永遠なのだ!